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ご近所の方が亡くなりましたが、その方は身寄りがいません。この場合、お墓をはじめ、祭祀財産はどうなるのでしょうか

ご近所の方が亡くなりましたが、その方は身寄りがいません。この場合、お墓をはじめ、祭祀財産はどうなるのでしょうか

 亡くなった方(被相続人)が祭祀財産(お墓など)の承継者を指定していた場合には、その方が祭祀財産を承継します。被相続人の親族であることも氏を同じくすることも必要ではありません。

 被相続人が祭祀財産の承継者を指定せず、かつ、身寄りがなく祭祀財産の承継者が不明の場合には、一般の相続財産の場合と同様、民法951条以下の相続人不存在の規定に基づいて処理されることになります。したがって、これらの手続きの終了によって祭祀財産は最終的には国庫に帰属することになります。

昨年母が亡くなりました。母の生前、私は無償で母名義の土地を母から借り、私名義の自宅を建築して母と一緒に暮らしていました。相続人は私、弟、妹の3人です。遺産分割協議にあたり、3人平等に相続することを提案したところ、他の兄弟から、「私たちは母さんから生前何ももらっていない。兄さん(私)はこれまで地代を払わずお母さんの土地を使用していたから、その地代相当額は贈与を受けたことになる。3人平等は納得できない。」と言われてしまいました。話し合いがまとまらず裁判となった場合、他の兄弟が言うように、その土地の地代相当額は贈与を受けたことになってしまうのでしょうか。

昨年母が亡くなりました。母の生前、私は無償で母名義の土地を母から借り、私名義の自宅を建築して母と一緒に暮らしていました。相続人は私、弟、妹の3人です。遺産分割協議にあたり、3人平等に相続することを提案したところ、他の兄弟から、「私たちは母さんから生前何ももらっていない。兄さん(私)はこれまで地代を払わずお母さんの土地を使用していたから、その地代相当額は贈与を受けたことになる。3人平等は納得できない。」と言われてしまいました。話し合いがまとまらず裁判となった場合、他の兄弟が言うように、その土地の地代相当額は贈与を受けたことになってしまうのでしょうか。

 貴方が貴方のお母様から土地を無償で借り受けたことにより、ご質問の土地について貴方は使用借権を有することになります。

 実務上、使用借権負担付きの土地は、遺産評価の際、更地の土地に比べて、使用借権相当額(地上建物が木造などの場合には、土地の1割程度)を差し引いて評価します

 この使用借権相当額については、貴方は特別に利益を受けたと考えられます。

 しかしながら、他のご兄弟が主張されるように、この土地の評価とは無関係の地代相当額について貴方が贈与を受けたことにはなりません。

 お母様が貴方に対して土地を無償使用させる際に、通常は、「私(母)が亡くなったら、使用貸借期間中の地代相当額は遺産に戻しなさい」とは考えないでしょうし、貴方としても、通常は、「母が亡くなったら、使用貸借期間中の地代相当額を遺産に戻さなければならない」とは考えないでしょう。

 実務上も、このような使用貸借における通常の当事者の意思を重視して、同様の判断をしています。

 したがって、ご質問にあるご兄弟の主張は主張自体失当として、裁判で取り上げてもらえません。ご安心ください。

隣地の柿の木の枝が私の家の庭に入ってきています。柿の実が私の庭に落ちて庭が汚れて不愉快です。隣地の所有者は既に亡くなっており、その相続人がだれなのか、どこに住んでいるのか、分かりません。私の庭に入っている部分の枝を勝手に切ってよいでしょうか

隣地の柿の木の枝が私の家の庭に入ってきています。柿の実が私の庭に落ちて庭が汚れて不愉快です。隣地の所有者は既に亡くなっており、その相続人がだれなのか、どこに住んでいるのか、分かりません。私の庭に入っている部分の枝を勝手に切ってよいでしょうか

 隣地の木の枝のうち貴方の庭に入っている部分を勝手に切ってしまった場合、後日隣地の相続人から損害賠償請求を受ける可能性があります。

 まず、隣地の相続人を探し、相続人自らがその木の枝を切るように交渉しましょう。ご自分で相続人を探し交渉することが難しい場合、お近くの司法書士にご相談ください。枝の侵入している範囲の土地の価額が所定額を超えない場合、司法書士が貴方の代理人として相続人を探し交渉することが可能です。交渉が決裂した場合、引き続きその司法書士に調停・訴訟等の代理を依頼することも可能です。

 なお、相続人を調査しても不明の場合には、裁判所に対して相続財産管理人の選任を申立て、選任された相続財産管理人にその木の枝を切るように求めていくことになるでしょう。

遺産分割協議書に記入する住所は、印鑑証明書と全く同じでないとダメですか。印鑑証明書には、「一丁目1番1号」と書いてあるのですが、いつも省いて「1-1-1」としているので、うっかりいつも通り記入してしまいました。書き直したほうがいいのでしょうか

遺産分割協議書に記入する住所は、印鑑証明書と全く同じでないとダメですか。印鑑証明書には、「一丁目1番1号」と書いてあるのですが、いつも省いて「1-1-1」としているので、うっかりいつも通り記入してしまいました。書き直したほうがいいのでしょうか

 書き直す必要はありません。遺産分割協議書に住所氏名を記入し、実印で押印するのは、たしかに本人が署名したということを証明するためです。「1-1-1」と書いたとしても、「一丁目1番1号」と同一であることはわかるので、このサインをした人が確かにあたなであることは証明できます。

公益目的の法人に寄付をする遺言書を作成したいと思います。知人から遺留分について注意するように言われましたが、遺留分とは何ですか

公益目的の法人に寄付をする遺言書を作成したいと思います。知人から遺留分について注意するように言われましたが、遺留分とは何ですか

 遺留分とは、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる権利のことをいいます。

 原則として、ご自分の財産は遺言によって自由に処分することができますし、その意思は尊重されるべきです。そのため、寄付先を決めたうえで「財産をすべて公益法人社団○○に寄付する」とする内容の遺言を作成することは問題ありません。

 しかし、その内容の遺言で相続人であるご家族の生活が不安定になってしまう様であれば、ご家族としても何かしらの主張をしたいところです。そこで民法は相続人が最低限相続できる権利を遺留分として保証しています。

 遺留分が保証されている相続人は、配偶者、子供、父母(直系尊属)です。兄弟姉妹は、亡くなられた方と経済的な結びつきが弱いことから遺留分がありません。

 遺留分として請求できるのは、配偶者や子供が法定相続人にいる場合は相続財産の2分の1、法定相続人が直系尊属だけの場合は、相続財産の3分の1になります。遺留分を確保するためには、遺言書により財産を相続した人に、「遺留分減殺請求」をする必要があります。さらに、「遺留分減殺請求」の権利は、相続開始、および自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年行使しない場合、または相続開始から10年経過すると時効によって消滅し行使できなくなります。

私は認知症の親の介護をしています。子は他にもいますが、長男というだけでほとんど全て私と私の家族が介護を受け持っています。親の介護は寄与分にならないのでしょうか? 寄与分になるとしたら、その精神的・肉体的な負担に対する寄与分について、何か算定のしかたはあるのでしょうか。また経済的な負担はすべて寄与分ですか

私は認知症の親の介護をしています。子は他にもいますが、長男というだけでほとんど全て私と私の家族が介護を受け持っています。親の介護は寄与分にならないのでしょうか? 寄与分になるとしたら、その精神的・肉体的な負担に対する寄与分について、何か算定のしかたはあるのでしょうか。また経済的な負担はすべて寄与分ですか

① 親の介護は寄与分にならないのでしょうか?

A 民法は親子関係にある者について扶養義務を課しています。従って、通常の介護の負担程度では扶養義務に吸収されてしまうので、介護のみをもって寄与分を主張するのは難しいです。また、通説では、寄与分は「被相続人の財産維持若しくは増加について特別の寄与をした」者に認めるとされています。介護の場合、家族の労務を金銭に置き換えて評価することが難しく、そのことも介護を寄与分として認めることを困難にしています。

 以上のような法的解釈が前提としてあるため、介護は訴訟や調停では寄与分としてなかなか認められないかもしれません。

 

② 寄与分になるとしたら、その精神的・肉体的な負担に対する寄与分について、何か算定のしかたはあるのでしょうか。また経済的な負担はすべて寄与分ですか。

A 例えば、介護事業者に依頼した場合の利用料金を参考に、家族が介護したことによって利用料金を払わなくて済んだという評価をすることで、「財産の維持に寄与した」という要件をクリアできるかもしれません。もう1つの要件である「特別の寄与」については、過去の判例によると数十年無給で被相続人の事業に従事してきたといった例があります。労務を長期間無償で行ってきた点が「特別の寄与」と評価されているようです。この判例のような極端な例でなくても、まずは介護事業者の利用料金を参考に金銭的な評価として他の相続人に示してみたらいかがでしょうか。

 なお、経済的負担については必ずしも寄与分として他の相続人に認めさせる必要はありません。例えば、親の介護を相続人の妻が担当してきた場合などは、妻はあくまで相続人ではありませんから、寄与分の範疇で妻の労務を評価することは理論的に不可能です。このような場合は、妻の労務を金銭的な評価に置き換え、不当利得として他の相続人に請求することが多いようです。

 

先月父が亡くなり葬儀も終わりました。その後すぐに、生前父が入院していた病院から50万円の入院費用の請求書が届きました。父が入院の際、私が連帯保証人となっていたので、私の預貯金から入院費用を支払いました。しかし、その後、父が多額の借金を負っていたことが分かりました。今から相続放棄することは可能でしょうか

先月父が亡くなり葬儀も終わりました。その後すぐに、生前父が入院していた病院から50万円の入院費用の請求書が届きました。父が入院の際、私が連帯保証人となっていたので、私の預貯金から入院費用を支払いました。しかし、その後、父が多額の借金を負っていたことが分かりました。今から相続放棄することは可能でしょうか

 ご相談者は連帯保証人であり、ご相談者自身の預貯金から50万円を支出して支払ったとのことですので、ご相談者は連帯保証人としてご自身が負担すべき保証債務の支払いをしたと評価することができます。

 相続放棄は、いちど亡くなられた方の財産を処分してしまうと認められません。なぜなら、亡くなられた方の財産の処分は、遺産を相続することの意思表示とみなされるからです。亡くなられた方が生前に負っていた負債の支払いも、財産の処分に含まれます。

 しかし、ご相談のようなケースでは、冒頭のとおり未だお父さんの財産を処分していないと考えられますので、今から相続放棄の手続きをとることが可能と考えます。

 なお、今回はご質問者が連帯保証人として支払っていますが、仮に保証人でない相続人が支払った場合であっても、そのお金を亡くなられた方の遺産から支出するのではなく、支払者自身名義の預貯金から支出した場合でも、やはり「財産の処分」には該当しませんから、この場合も相続放棄は可能と考えます。

 しかし、50万円を亡くなられた方の遺産から支出した場合は、「財産の処分」には該当すると考えられますので、相続放棄は認められない点にご注意ください。

3年前に父が亡くなり、すぐに不動産や預貯金の相続手続きを済ませました。ところが、3日前、突然ある債権者から私宛に数千万円の支払催告書が届きました。その債権者は、父を連帯保証人として第三者に対して融資したらしく、その第三者が破産したため、父の相続人である私宛に支払催告書を送ってきたようです。私にとっては「寝耳に水」のことですので、可能であれば今すぐにでも相続放棄したいと思います。このような場合、相続放棄は可能でしょうか。

3年前に父が亡くなり、すぐに不動産や預貯金の相続手続きを済ませました。ところが、3日前、突然ある債権者から私宛に数千万円の支払催告書が届きました。その債権者は、父を連帯保証人として第三者に対して融資したらしく、その第三者が破産したため、父の相続人である私宛に支払催告書を送ってきたようです。私にとっては「寝耳に水」のことですので、可能であれば今すぐにでも相続放棄したいと思います。このような場合、相続放棄は可能でしょうか。

 ご質問のケースでは、相続放棄は難しいかもしれません。

 もしあなたがお父様の積極財産を相続していた場合、法定単純承認事由(民法921条)にあたり、相続放棄は認められ難いと考えられます。

 また、相続放棄は、通常3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所に対して申し立てをしなければならないところ、この熟慮期間も徒過していると考えられます。

 熟慮期間は「相続人が相続すべき積極及び消極財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時」から起算するとされています。

 お父様が亡くなった時点で積極財産である不動産、預貯金の存在を認識していた本件では、例え消極財産(今回のケースでは保証債務)がその時点では判明していなかったとしても、熟慮期間はスタートしていたと考えざるを得ないでしょう。

 一方、熟慮期間の起算点については、「…3ヶ月以内に相続放棄をしなかったのが、…その債務負担を知っていれば相続放棄をするのが通常の対応であるといえるような、積極財産の額をはるかに超える額の消極財産が被相続人に存在しないと信じたためであり、…そのように信じるについて相当の理由があると認められる場合の熟慮期間の起算点は、相続人が上記消極財産の存在を認識し又は通常これを認識し得べかりし時から起算する」として相続人の保護をはかろうとする考え方もありますので、その点を踏まえて相続放棄の申し立ての可否を検討してみてはいかがでしょうか。

父親が、公益目的の法人への寄付をする遺言書をのこしたいと言っております。公証人役場では認知症になると遺言書の作成が出来ないと聞きましたが本当でしょうか

父親が、公益目的の法人への寄付をする遺言書をのこしたいと言っております。公証人役場では認知症になると遺言書の作成が出来ないと聞きましたが本当でしょうか

 認知症と一口に言っても色々な段階がありますので、軽度の認知症であれば通常の方式(公証人の面前で口授・証人2名の立会い)で公正証書遺言を作成することも可能です。本人の判断能力について医師の診断書を取得したうえで、公証役場に相談してみると良いでしょう。

 認知症の症状が進んでいて本人が成年被後見人であった場合でも、判断能力が一時回復する時があるような方でしたら、判断能力が回復した時に医師2人以上の立会いにより遺言書を作成するという方式(民法973条)もありますので、こうした方式についても公証役場と相談してみたら良いでしょう。

他界すると銀行口座が凍結され、認知症を患っても同様に凍結され、引き出しができなくなると聞きました。本当でしょうか

他界すると銀行口座が凍結され、認知症を患っても同様に凍結され、引き出しができなくなると聞きました。本当でしょうか

 まず、預金者が亡くなった場合ですが、単独相続の相続人でない限り、原則としてその預金を誰が相続するかということを決める作業である遺産分割を行わないと、預金の引き出しはできません。例外として、銀行によっては、葬儀等の費用については他の相続人の同意が無くても預金を引き出せる場合がありますので、その銀行に尋ねてみてください。

 次に、預金者が認知症などを患った場合ですが、銀行が定める「預金取引規定」によると、預金者について成年後見等開始の審判がされたときは成年後見人等がその旨を届け出ることになっています。従って、成年後見人等の届出がされると預金者本人による預金の引き出しはできなくなります。また、成年後見等開始の審判がされていないときでも、預金者本人の様子から判断能力が低下していると判断された場合は預金の引き出しを断られることもあります。銀行がこのような扱いをするのは、預金者が成人として正常な判断能力を有していることを前提としているからです。

 ところで、いずれの場合も、銀行の担当者から見れば、窓口に来店している方が預金者本人か、預金者本人だとしても判断能力が低下しているかどうかはよく分からないこともあります。そのため、相続人や本人に代わって財産を管理する方が、預金者本人の名義で事実上取引を継続してしまう例もあるようです。しかし、他の親族から在らぬ疑いを抱かれるなどトラブルに発展する可能性もありますから、預金者本人が死亡した場合や成年後見等開始の審判があった場合は、必ず銀行に届け出るようにしましょう。