父が亡くなりました。遺品を整理していたところ、遺言書が見つかり、家庭裁判所で検認したところ、祭祀承継者として私が書かれていました。私は他家に嫁いでいる身なので、父には申し訳ないのですが、辞退したいと思います。祭祀承継者を辞退するには、どうすればよいですか

父が亡くなりました。遺品を整理していたところ、遺言書が見つかり、家庭裁判所で検認したところ、祭祀承継者として私が書かれていました。私は他家に嫁いでいる身なので、父には申し訳ないのですが、辞退したいと思います。祭祀承継者を辞退するには、どうすればよいですか

 祭祀承継者には血縁関係に無い人物を指定することもでき、かつ口頭を含む適宜の方法で指定することができるとされています。よって、本件の遺言による祭祀承継者の指定は有効と考えられます。

 ところで、祭祀財産の承継については、一般の財産の承継(相続)と異なり、民法に承認や放棄の制度が定められていません。そのため、解釈上、祭祀承継者の地位を辞退することはできないとされています。

 しかし、先祖の祭祀を行うことが祭祀承継者の思想信条と異なる場合もあるわけですから、祭祀を承継しても祭祀を主宰する義務は負わないと考えられています。その他の親族が祭祀の主宰を求めることもできません(東京高決昭和28年9月4日判時14号16頁)。

 ご質問への回答は、祭祀承継者の辞退はできないが祭祀を主宰する義務は負わない、ということになります。

「法定相続情報証明を、登記、預貯金の解約、税務申告など、複数の手続に利用したいと思っています。すべての利用目的を記載するのは面倒ですから、「相続手続のため」と記載して法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をすることはできないでしょうか」に回答しました。

法定相続情報証明を、登記、預貯金の解約、税務申告など、複数の手続に利用したいと思っています。すべての利用目的を記載するのは面倒ですから、「相続手続のため」と記載して法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をすることはできないでしょうか

 法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をする際は、利用目的だけでなく提出先が推認できる具体的な記載をする必要があります。例えば、「預貯金の相続手続」と記載すると、被相続人の預貯金口座解約のため金融機関へ写しを提出することが推認できます。また、複数の手続に利用したい場合は、すべての利用目的を記載する必要はなく、どれか1つの利用目的を記載すれば足ります。

「直系尊属が相続人になる場合、どの程度遡って調査する必要がありますか」に回答しました。

直系尊属が相続人になる場合、どの程度遡って調査する必要がありますか

 直系尊属とは被相続人の直系の先祖のことを言います。直系尊属は、被相続人に子がいない場合に相続人になります。

 まず、戸籍の記載から被相続人の両親が生存しているかを調査します。生存していた場合は被相続人の相続人は両親と確定しますので、ここで調査は終了です。ところが、両親が被相続人より先に死亡していた場合は祖父母が相続人になりますから、さらに戸籍を遡って祖父母が生存しているかどうか調査する必要があります。同様に、祖父母が被相続人より先に死亡していた場合は曾祖父母の生存を調査する必要が生じます。このように、直系尊属が相続人となる場合は、先代、先々代・・・と、戸籍を遡って調査しなければならないのが原則です。

 しかし、被相続人の先祖であれば、通常は被相続人より先に死亡していると考えられます。また、除籍・原戸籍の保存期間(150年間)以上過去に遡って調査することはそもそも困難ですし、合理的とは言えません。

 そこで、不動産登記実務では、相続開始時から100年程度遡って戸籍を調査しても生存している直系尊属がいない場合は、それより過去の直系尊属は被相続人死亡前に死亡したものとして扱われています。例えば、被相続人が80歳で死亡した場合で、被相続人より先に死亡した両親が生存してれば100歳を超える生年月日であった場合、祖父母や曾祖父母は既に死亡していると考えられるため、祖父母死亡を確認するための除籍を添付する必要はありません。

 上記は不動産登記の例ですが、法定相続情報証明制度は不動産登記規則に基づく制度ですから、不動産登記実務と同様の扱いがされるものと考えられます。

 もっとも、今日では100歳を超えてもお元気な方が多くいますので、数字はあくまで目安です。事案によって異なりますので、ご注意ください。