祭祀承継者が定まらない場合、裁判所の判断基準にはどのようなものがあるのでしょうか

祭祀承継者が定まらない場合、裁判所の判断基準にはどのようなものがあるのでしょうか

 系譜、祭具(位牌、仏壇仏具、神棚など)、墳墓などの祭祀に関する財産については、相続人ではなく、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。

 祭祀の主宰者は民法897条によってその決定方法が定められており、まず被相続人の指定により、指定がない場合は慣習によって決まります。指定も慣習もない場合には、家庭裁判所が調停または審判手続きで決定することになります。

 裁判所が,祭祀を承継する主宰者を決定する際の判断基準については,以下の裁判例が参考になります。

 大阪高等裁判所昭和59年10月15日決定は,「祭祀財産の承継者を指定するにあたつては,承継者と被相続人との身分関係のほか,過去の生活関係及び生活感情の緊密度,承継者の祭祀主宰の意思や能力,利害関係人の意見等諸般の事情を総合して判断するのが相当であると解される」としています。

 また,東京高等裁判所平成18年4月19日決定は,「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係,承継候補者と祭具等との間の場所的関係,祭具等の取得の目的や管理等の経緯,承継候補者の祭祀主宰の意思や能力,その他一切の事情(例えば利害関係人全員の生活状況及び意見等)を総合して判断すべきであるが,祖先の祭祀は今日もはや義務ではなく,死者に対する慕情,愛情,感謝の気持ちといった心情により行われるものであるから,被相続人と緊密な生活関係・親和関係にあって,被相続人に対し上記のような心情を最も強く持ち,他方,被相続人からみれば,同人が生存していたのであれば,おそらく指定したであろう者をその承継者と定めるのが相当である。」としています。

 いずれにしましても総合的な判断によって決定されることになります。

「相続による権利の移転の登記等の申請(相続関係説明図の提出あり)と同時に法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をすることは可能ですか」に回答しました。

相続による権利の移転の登記等の申請(相続関係説明図の提出あり)と同時に法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出をすることは可能ですか

 申請書は別途必要になりますが、登記申請に合わせて一覧図の写しの交付の申し出をすることができます。

 なお、登記申請と一覧図の写しの交付の申し出が同時になされた場合、登記所では、まず登記申請について処理を行い、その完了後に一覧図の写しの保管等の処理がなされるようです。

 したがって、登記申請書に法定相続情報一覧図の写しを添付することができないため、登記申請書には相続関係説明図を添付して戸籍等を還付する必要があります。還付された戸籍等はそのまま一覧図の写しの保管等の手続きに用いられることになります。

「数次相続(被相続人の死亡後に相続人が死亡)が発生している場合の一次相続と二次相続の法定相続情報一覧図の保管等申出は、各被相続人の本籍地等が異なっている場合は、それぞれの登記所に対して行わなければなりませんか」に回答しました。

数次相続(被相続人の死亡後に相続人が死亡)が発生している場合の一次相続と二次相続の法定相続情報一覧図の保管等申出は、各被相続人の本籍地等が異なっている場合は、それぞれの登記所に対して行わなければなりませんか

 数次相続が発生している場合、一次相続と二次相続の法定相続情報一覧図の保管等申し出は、同時に申し出がなされる場合に限り一次相続に係る登記所において合わせて行うことができます。

「法定相続情報一覧図の保管等申出を代理人が行う場合に、内縁の妻を代理人とするこことはできますか」に回答しました。

法定相続情報一覧図の保管等申出を代理人が行う場合に、内縁の妻を代理人とすることはできますか

 申出を代理人が行うことはできますが、代理人となれる方の要件が限定されているため、内縁の妻は代理人として手続きを行うことはできません。

 法定相続情報一覧図の保管および一覧図の写しの交付の申出を代理人によってする場合には、申出書に当該代理人の氏名又は名称、住所及び連絡先並びに代理人が法人であるときはその代表者を記載する必要があります。また、代理人となれる者は、申出人の法定代理人又はその委任による代理人にあってはその親族若しくは戸籍法第10条の2第3項に掲げる者に限るとされています。

 なお、戸籍法第10条の2第3項に掲げる者とは、具体的には弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士です。

 以上より、法律上の婚姻をしていない内縁の妻は代理人となれる要件に該当しないため、手続きを行うことができないことになります。

「死亡した父の預金口座を解約しようと銀行に行ったところ、父の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を取得して提出するように言われました」の質問に回答しました。

死亡した父の預金口座を解約しようと銀行に行ったところ、父の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を取得して提出するように言われました。これまであまり戸籍謄本を取ったことがないのですが、どのようなものを用意すればいいのでしょうか。

① 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの間のすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など
② 相続人となるべき方全員の現在の戸籍謄本
が最低限必要になります。事案によっては追加で必要な戸籍があります。

 戸籍には出生、死亡、婚姻、離婚、認知、養子縁組、離縁などの情報が記載されているため、出生から死亡までの戸籍を確認することで相続人が確定します。

 戸籍は被相続人の本籍地を管轄する市区町村の役所が管理していますので、まずは直接出向くか郵便により請求します。郵送請求の方法は各役所によって異なりますので、請求先の役所のホームページや電話等で方法を確認しましょう。

 その際に「出生から死亡までの間の戸籍をすべてください」と役所の方にお伝えすると、その役所で管理している戸籍をすべて取得することができます。他の市区町村に本籍地を置いていたことがある場合には、その本籍地の役所においても同様に請求します。本籍地が分からない場合には、本籍の記載のある住民票を取得することで確認できます。

 被相続人の戸籍によって相続人が確定できたら、相続人の現在の戸籍を取得します。相続人の範囲は民法で次のとおり定められていますので、法律上誰が相続人になるのかを確認したうえで請求するようにしてください。

【相続人の範囲】

 被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

第1順位 被相続人の子供
 その子供が既に死亡している場合は、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。これを代襲相続といいます。子供も孫もいる場合は、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

第2順位 被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
 父母も祖父母もいる場合は、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
 なお、第2順位の人は、第1順位の人がいない場合に相続人になります。

第3順位 被相続人の兄弟姉妹
 その兄弟姉妹が既に死亡している場合は、代襲相続によりその人の子供が相続人となります。なお、第3順位の人は、第1、第2順位の人がいない場合に相続人になります。 

 被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合には被相続人の両親についても出生から死亡までの間のすべての戸籍も必要になります。

 さらに、上記代襲相続の場合には、本来の相続人である先に亡くなられた方の出生から死亡までの間のすべての戸籍も必要となりますのでご注意ください。

 また、不動産の名義変更や、銀行、信用金庫、保険会社、証券会社などで戸籍を必要とする相続手続きを複数行う必要がある場合には、平成29年5月から運用される「法定相続情報証明制度」のご利用をご検討ください。