「市民と法」に「福祉分野の民事信託契約の条項例と作成上の留意点」も掲載

 「市民と法」112号では、「【特集1】民事信託契約書作成の法的根拠論と技術論を探究する」の中で、あかし運営委員会の中里功委員による「福祉分野の民事信託契約の条項例と作成上の留意点」も掲載されています。

ちょっとだけ紹介しますと・・・・・

 本稿では「叶」がその実践活動の中から取りまとめたモデル契約書の逐条的解説を試みる。
 このモデル契約書は「親亡き後」に代表される福祉の分野において、法律の素人である一般市民が契約当事者となって民事信託を活用することを想定したものである。このため、起案にあたっては難解かつ複雑な契約条項を目にした契約当事者が利用を躊躇しないよう「読んでわかる」を第一義に掲げ、契約条項の説明を通じて「将来はこんな支援をしてもらえるんだ」「契約に携わる家族はこんな役割を果たしていく必要があるのか」など、具体的なイメージを描くことができるように心がけた。
 障害を抱える子の将来を憂う親御さんやご家族の生の声を反映し、実務家である私たち司法書士が「実際に使ってもらう」ことを意識して取りまとめたオリジナル版であり、借り物ではない「親亡き後」に適した内容であると自負する。なお、メンバーによる議論の過程は解説部分に記録されており「このようなニーズにはこのような条項で応えよう」「このような財産がある場合にはこの・・・・・

つづきは「市民と法」を購読してお読みください。

 「市民と法」:「身近な街の法律家」としての使命と役割を担う司法書士の方々に対して、日々の実務の必須知識や指針を提供し、さらには自らが蓄積した知識や情報、業務の現状に対する問題提起や司法書士制度の将来展望を考察し、提言・発表する場でもある総合法律情報誌!

「市民と法」に「民法918条2項に基づく財産管理人の活用(理論編)」が掲載されました。

「市民と法」112号に、拙稿、「遺産承継業務・静岡モデル(5)民法918条2項に基づく財産管理人の活用(理論編)」が掲載されました。

ちょっとだけ、出だしの部分を紹介します。

 本誌108号から始まった「遺産承継業務・静岡モデル」の短期集中連載は、静岡県司法書士会あかし運営委員会 の研究成果として、司法書士法施行規則31条(以下、「規則31条」という。)を拠り所としない遺産承継業務の理論と実務を紹介している。
そして、前号までで、司法書士が行う遺産承継業務の内容とその法的根拠、遺産承継業務の受任形態、利益相反問題、相談の在り方について解説を行ってきた。
 とりわけ、本誌108号では、遺産承継業務は、①遺産の調査・相続人の確定(以下、「調査業務」という。)、②遺産分割、③協議結果に基づく名義変更(以下、「執行業務」という。)の三段階に区分できること、司法書士は、遺産分割調停申立書の作成業務を除き、②の遺産分割へ関与することはできないこと、司法書士業務は、①「本来的業務」(司法書士法3条所定の業務)、②附帯業務としての規則31条所定の業務、③規則31条で規定されていない附帯業務の3つに大別でき、調査業務及び執行業務はこのうちの③に該当することの解説を行った 。
このように、司法書士は遺産承継業務受任者の立場では遺産分割に関与することはできない。しかしながら、一方では、何らかの事情で相続人の一部または全部が相続に関わろうとせず、またはそれが期待できないために、相続財産が散逸したり、相続人、第三者又は利害関係人の利益が損なわれる事態が生じる場合がある 。
 このような場合、司法書士が他人の財産の管理若しくは処分を行う業務を行うことが許容される地位に就くことができれば、相続財産の管理処分を適切に行い、又は、円滑に相続人に財産を引き継ぐ役割を担うことが可能となる(規則31条1号) 。
 本稿は、このようなケースにおいて、民法918条2項の規定にもとづいて選任される相続財産管理人(以下、「918条財産管理人」という。)の活用を提言するものであり、相続財産管理制度における918条財産管理人の位置づけとその権能について考察を行うものである。また、成年被後見人の死後事務として行使することができる成年後見人の権限(民873条の2)との関係についても検討しておくこととする。
 なお、918条財産管理人を利用した具体例については、本誌次号「民法918条2項にもとづく相続財産管理人の活用(実践編)」で紹介する予定である。

このあとは、「市民と法」を購読して読んでください。

「市民と法」:「身近な街の法律家」としての使命と役割を担う司法書士の方々に対して、日々の実務の必須知識や指針を提供し、さらには自らが蓄積した知識や情報、業務の現状に対する問題提起や司法書士制度の将来展望を考察し、提言・発表する場でもある総合法律情報誌!

以前に作成した自筆証書遺言の保管申請をしたいが、現在は自書ができなくても保管制度は利用できるでしょうか。

自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が開始するようですが、知人から次の相談を受けました。保管制度は利用できるでしょうか。
 知人が言うには「以前に作成(3年前に作成)した自筆証書遺言を保管してもらいたいが、現在は、体調を崩して、自書することができません。保管申請書の記載事項は司法書士等に作成してもらった上で、法務局に出頭すれば、よろしいでしょうか?
 なお、妻も同様に自筆証書遺言を作成していますが、最近になって、認知症と診断されており、判断能力にやや問題があるような状態ですが、保管制度は利用できるでしょうか」
私は次のように思うのですが、みなさんはどのように考えますか
1 ご主人の場合は、問題ないと思います。
2 奥様の場合は、問題があるように思います。
  それは、遺言者本人が遺言書保管所(法務局)に出頭しますが、そこで遺言書保管官によって本人確認があります。
 そして、保管申請書の記載事項等について説明を求められますので、それに対して説明ができないときは受理されない場合があると思われるからです。
  以上のような回答でいかがでしょうか。みなさんのご意見を聞かせて下さい。
<関係条文>
 法務局における遺言書の保管等に関する法律第5条(遺言書保管官による本人確認)
  遺言書保管官は、前条第1項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。
 

法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大に係る法定相続情報一覧図の記載内容等の見直しについて、意見募集が始まりました。

法務省ホームページより

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080163&Mode=0

法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大に係る法定相続情報一覧図の記載内容等の見直しについて

http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000170142

 法務省民事局では,相続登記を促進するための制度として平成29年5月から開始した法定相続情報証明制度に関し,その利用の範囲を拡大するための方策について検討しています。
 ついては,広く国民の皆様からご意見をいただきたく,以下の要領により意見の募集をいたします。
<意見募集要領>
2 意見募集対象
「法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大に係る法定相続情報一覧図の記載内容等の見直しについて」
3 資料の入手方法
電子政府の総合窓口e-Gov(http://www.e-gov.go.jp/)において掲載
4 意見の提出方法
(1) インターネットによる提出
電子政府の総合窓口e-Govの意見提出フォームに従って,氏名,連絡先及び本件へのご意見(該当箇所の明示をお願いします。)を記入の上,ご提出ください。
(2) 郵送
意見提出用紙に氏名,連絡先及び本件へのご意見(該当箇所の明示をお願いします。)を記入の上,以下の宛先にお送りください。
〒100-8977東京都千代田区霞ヶ関1-1-1
法務省民事局民事第二課
パブリックコメント担当宛
(3) FAX
意見提出用紙に氏名,連絡先及び本件へのご意見(該当箇所の明示をお願いします。)を記入の上,以下のFAX番号にお送りください。
FAX番号:03-3592-7913
5 意見募集期間
平成30年2月14日(水)~平成30年3月15日(木)(必着)
6 その他
 いただいたご意見につきましては,本件の最終的な決定における参考とさせていただきます。なお,いただいたご意見についての個別の回答はいたしかねますので,あらかじめご了承ください。
 いただいたご意見につきましては,氏名(企業・団体においては,名称)及びご意見の内容を公開する可能性があることをあらかじめご了承ください。
 電話での意見提出はお受けしかねます。
 ご意見は,日本語で提出するようお願いいたします。

 

 

 

 

父が亡くなって調べたところプラス財産より負債の方が多いため相続放棄をしようと考えていますが、私は、昨年、父から生前贈与を受けて相続時精算課税を選択していますので、それでも相続放棄ができるのか心配です。

父が亡くなって調べたところプラス財産より負債の方が多いため相続放棄をしようと考えていますが、私は、昨年、父から生前贈与を受けて相続時精算課税を選択していますので、それでも相続放棄ができるのか心配です。

生前贈与を受けていても相続財産の処分(法定単純承認)ではありませんので、相続放棄をすることは可能です。但し、税法上、相続時精算課税を選択して生前贈与を受けた財産は、相続によって取得したものとして相続税の計算がされることになりますので注意が必要です。

 なお、被相続人が債務超過であることを知りながら相続で債務を引き継ぐことを避ける意図で生前贈与を行っていたような場合でも、相続放棄は詐害行為取消しの対象となりません(最判昭和49年9月20日)ので相続放棄が取り消されることはないと考えられますが、このような場合には生前贈与自体が詐害行為として取り消される可能性はあります。

公益目的の法人に寄付をする遺言書を作成しましたが、やはり寄付を止めて子供に全財産を残したいと考えております。この場合、どうすればいいのでしょうか

公益目的の法人に寄付をする遺言書を作成しましたが、やはり寄付を止めて子供に全財産を残したいと考えております。この場合、どうすればいいのでしょうか

 民法では、前の遺言と後の遺言が抵触するとき又は、遺言を遺言後の生前処分その他の法律行為が抵触するときは、その抵触するする部分について、遺言の撤回があったものと擬制(みなされます)しています(民法1023条)。

 遺言は、遺言者の最終意思を尊重するものですから、この場合、新たに子供に財産を相続させる旨の遺言書を作成すれば、後の遺言として優先されます。

 また、財産を子供に生前贈与した場合も、遺言と抵触する法律行為として、遺言は撤回されたものと擬制されます。

夫が亡くなりました。相続財産は預金約500万円だけです。相続人は私と30才の子供だけです。銀行に預金を解約しに行ったところ、遺産分割協議書の提出を求められました。子供は「かあさんが相続すればいいよ」と言ってくれていますので遺産分割協議書という書類は作っていません。子供は転勤で海外にいるのですが、どうしたらいいでしょうか。

夫が亡くなりました。相続財産は預金約500万円だけです。相続人は私と30才の子供だけです。銀行に預金を解約しに行ったところ、遺産分割協議書の提出を求められました。子供は「かあさんが相続すればいいよ」と言ってくれていますので遺産分割協議書という書類は作っていません。子供は転勤で海外にいるのですが、どうしたらいいでしょうか。

 亡くなられたご主人の預金は相続人全員の同意がなければ解約できないことになっています。銀行としては、子供さんが「かあさんが相続すればいいよ」と言っていることを書面で確認する必要があるわけです。
 そのため遺産分割協議書の提出を求められていると思われますが、遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。

 子供さんが住所を海外に移されている場合は印鑑証明書が発行されませんので、代わりに居住先の日本大使館または領事館で「署名証明書」(サイン証明)を発行してもらいます。

 具体的には、遺産分割協議書を海外の子供さんに送り、大使館または領事館へお持ちいただいて領事の面前で署名し、証明書を付けてもらいます。遺産分割協議書の作成はご自身でもできますが、不安があるようでしたら専門家に相談されるとよいでしょう。

(文責 井口ゆり)

公益目的で財産の寄付を考えていますが、財産に不動産があります。注意することはありますか

公益目的で財産の寄付を考えていますが、財産に不動産があります。注意することはありますか

 個人が、土地・建物など不動産を法人に寄附した場合、その不動産は寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ、取得時から寄附時までの値上がり益に対して譲渡人に譲渡所得税(みなし譲渡所得税)が課税されます(所得税法第59条第1項第1号)。

 しかし、公益法人等(非課税制度の対象となる公益法人等とは、公益社団法人、公益財団法人、特定一般法人(法人税法に掲げる一定の要件を満たす法人)及びその他の公益を目的して事業を行う法人(社会福祉法人、学校法人、更生保護法人、宗教法人、特定非営利活動法人など))に寄附した場合において、一定の条件(その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど)を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、みなし譲渡所得税が非課税とする制度が設けられています(租税特別措置法第40条)。

 国税庁長官の承認を受けるためには、以下のすべての要件を満たす寄附でなければなりません。

・寄附が教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること。
・寄附財産が、その寄附日から2年以内に寄附を受けた法人の公益を目的とする事業の用に直接供されること。
・寄附により寄附した人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄附した人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税や贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないこと。

 非課税承認後であっても、承認要件に該当しなくなった場合には、国税庁長官は、いつでもその承認を取り消すことができることとされています。

 この国税庁長官の承認を受けようとする人は、「租税特別措置法第40条の規定による承認申請書」を、寄附日から4か月以内に寄附した人の所得税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

 より詳細を知りたい方は国税庁HPを参照してください。

公益目的で財産を寄付したいのですが、遺言書はどのように作成したらいいのでしょうか

公益目的で財産を寄付したいのですが、遺言書はどのように作成したらいいのでしょうか

 公益目的をもった活動をしている個人や団体への寄付(法律用語では遺贈)をすることは可能ですが、以下に注意点を挙げておきます。

①できるだけ公正証書遺言で作成しましょう

 遺言には、主に全文を自筆する自筆証書遺言と公証人に作成してもらう公正証書遺言があります。自筆証書遺言は遺言者だけで作成することができ費用がかからないというメリットがありますが、民法に定める方式を逸脱すると無効になってしまう場合もあります。また、自分だけで作成したために遺言の保管場所が分からず、せっかく作成した遺言が実行されないという事態もあり得ます。さらに、遺言者が死亡した後、家庭裁判所で検認という手続を行う必要があります。

 一方、公正証書遺言は、専門家である公証人が作成しますから遺言が無効になってしまうことはほとんど考えられませんし、検認手続をすることなく遺言を執行できます。公証人に対する報酬は必要となりますが、遺言は公正証書で作成することをお勧めします。

②相続人でない遺言執行者を指定しましょう

 公正証書遺言であれば、通常は公証人から遺言執行者を指定するように勧められますが、自筆証書遺言の場合、遺言執行者が指定されていないことがよくあります。遺言執行者とは、遺言の内容を実現する責務を負った人のことです。自分の最後の意思を確実に実行するために、信頼できる人を遺言執行者に指定しておきましょう。

 特に、遺言が公益目的の団体等に財産を寄付する内容となっている場合は、遺言の実行は相続人にとって相続財産の減少に繋がりますから、相続人任せにしておくとスムーズに遺言が実行されない場合があります。

 以上のような理由から、相続人でない者、できれば法律に詳しい専門家を遺言執行者に指定しておくことをお勧めします。

③相手を特定しましょう

 過去の判例によると、「遺産の全部を公共に寄付する」という内容の遺言が認められたケースがあるようです。その場合、遺言執行者が遺言者の意思を慮って寄付先を決めることになります。しかし、一般には、相手先を定めて指定しておくべきです。

 団体であれば、法務局で登記事項証明書を取り寄せ、所在地、代表者、団体の目的などを確認しましょう。個人であれば、住所氏名生年月日を確認できる資料を取り寄せることができれば取り寄せ、遺言に正確に記載するようにしましょう。

④寄付する相手がどのような財産なら受け入れるのか事前に調査しましょう

 公益目的の個人や団体の中には、換価処分が困難な不動産の寄付は受け付けないところもあります。事前に、その団体がどのような財産なら寄付を受け付けるか、確認しておきましょう。不動産の寄付を受け付けず換価処分をして現金として寄付する必要があるのなら、遺言の中で遺言執行者に換価処分の権限を与えておく必要があります。