自筆証書遺言にパソコンで作成した目録を添付したいのですが、目録は表裏印刷でもいいですか

 自筆証書遺言と一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書でなくてもかまいませんし、表裏印刷でもかまいません。ただし、偽造や変造防止の観点から、自書ではない目録を添付する場合には、遺言者は、その目録の毎頁に署名し、印を押さなければなりませんので、目録が表裏印刷されている場合はその両面に署名押印をする必要があります。

 たとえば、表面だけに目録が記載され、その面に署名押印がなされているケースを想定すると、後日、その裏面に別の財産目録を記載することができてしまいます。こうした変造を防止するために、自書によらない記載が両面にある場合はその両面に署名押印を求めているのです。

改正民法の施行により、従来の遺留分減殺請求はどのように変更が生じたのですか?

 遺留分権利者は、受遺者や受贈者に対し、遺留分を侵害する額に相当する金銭の支払いを請求することができるようになりました(改正民法1046条1項)。遺留分減殺請求により、減殺請求を受けた遺贈や贈与が共有となるとする従来の考え方を廃止し、すべて金銭により解決を図ることとされたわけです。

 「減殺」という考え方が廃止されたことから、名称も「遺留分侵害額請求権」と変更します。

父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「甲土地をXに相続させる」との遺言を残していました。甲土地について、まだAからXへの移転登記はしていませんでした。ところが、Yには借金があり、債権者であるKが、甲土地につきXとYに代位して、AからXY名義への相続を原因とする所有権移転登記をしたうえで、Yの持分を差押えてしまいました。XY名義の所有権登記、差押登記は無効ではないでしょうか。

 Xは、甲土地の所有権のうちY持分として登記された部分について、Kに対抗することはできません。

 平成30年改正相続法は、「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分(法定相続分)を越える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」(899条の2第1項)と規定しています。

 したがって、Xは甲土地につき、法定相続分である2分の1の持分については登記がなくてもKに対抗することはできますが、、遺産分割方法の指定により取得した法定相続分を越える残りの2分の1については、登記がなければKに対抗することはできません。

相続人以外の者が被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした場合、どのような者でも特別寄与者として特別寄与料を請求できるのですか。

特別寄与者は被相続人の相続人ではない親族に限られます。

親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいますが、このうち相続人ではない者が被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした場合には、特別寄与者として特別寄与料を請求することができます。

 ただし、親族であっても、相続の放棄をした者、相続人の欠格事由に該当する者、廃除された者は特別寄与者となることはできません。これは、相続人になることができたのに自ら相続放棄をした者や、相続人になることができなかった者まで特別寄与者として救済する必要性は乏しいと考えられるからです。

相続人の一人が、相続開始後に勝手に預貯金を引き出して使ってしまいました。今後、遺産分割協議を進めるにあたり、使われてしまった預貯金についてはどのように対応すればよいですか?

 遺産分割の対象となる財産が、相続開始後遺産分割前に勝手に処分されてしまうようなケースでは、共同相続人全員が同意することにより、処分された財産が未だに遺産として存在するものとみなして遺産分割をおこなうことができるようになります(改正民法906条2項)。また、勝手に処分をした者が相続人の一人である場合には、当該相続人の同意は必要ではありません(同条2項)。

 この規定により、相続開始後遺産分割協議前に遺産を勝手に処分した相続人は、遺産分割における取り分が減少することとなるわけです。

 なお、預貯金債権の仮払い制度(改正民法909条の2)や、遺産分割事件を本案とする保全処分(改正家事事件手続法200条3項)は、改正民法906条の例外規定として位置付けられます。

父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「Xの相続分を3分の2、Yの相続分を3分の1とする」との遺言を残していました。この遺言をもとにXは甲土地全てを含む遺産の3分の2を、Yが預貯金から残りの3分の1を相続することになりました。甲土地について、まだAからXへの所有権移転登記はしていませんでした。 ところが、Yには借金があり、債権者であるKが、甲土地につきXとYに代位して、AからXY名義への相続を原因とする所有権移転登記をしたうえで、Yの持分を差押えてしまいました。XY名義の所有権登記、差押登記は無効ではないでしょうか。

 Xは、甲土地の所有権のうちY持分として登記された部分について、Kに対抗することはできません。

 平成30年改正相続法は、「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分(法定相続分)を越える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」(899条の2第1項)と規定しています。

 したがって、Xは甲土地につき、法定相続分である2分の1の持分については登記がなくてもKに対抗することはできますが、相続分の指定により取得した法定相続分を超える残りの2分の1については、登記がなければKに対抗することはできません。

 

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本書の内容

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第2章 遺産承継業務・静岡モデル
第3章 遺産承継業務・静岡モデルに関するFAQ〔49設問〕
第4章 相続業務相談時の説明と相談のあり方
第5章 918条財産管理人の理論と実践
第6章 共有不動産の処分に関する条項案
第7章 法定相続情報証明制度の基礎知識
第8章 法定相続情報証明制度に関するFAQ〔64設問〕
第9章 相続全般に関する必須知識FAQ〔97設問〕

遺言の文書が短いので一頁の自筆証書遺言に財産目録を入れることはできますか

 自筆証書遺言は、その全文、日付及び氏名を自書し、印を押さなければなりませんが、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書でなくてもかまいません。

 お尋ねのケースは、遺言の文書が短いので一枚の紙に財産目録を入れてしまいたいという趣旨であると思われますが、一枚の紙に入れるのであれば財産目録も自書する必要があります。目録が自書でなくてもいいのは、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合に限られます。

預貯金の仮払い制度を利用して葬儀費用を支払う予定ですが、他の相続人の同意は必要ですか?

 必要ありません。預貯金の仮払い請求は、各相続人が単独で請求することが認められています。

 なお、仮払いを受けた預貯金は、仮払い請求をした相続人が遺産の一部分割によって取得したものとみなされますので、払戻しを受けた部分については、以後の相続人間の遺産分割協議の際に協議の対象となる財産から除外される点にご注意ください。

父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。私はYと遺産分割協議をし、Aの遺産である甲土地は私が相続することになりましたが、まだAから私への所有権移転登記はしていませんでした。 ところが、Yには借金があり、債権者であるKが、甲土地につき私とYに代位して、AからXY名義への相続を原因とする所有権移転登記をしたうえで、Yの持分を差押えてしまいました。XY名義の所有権登記、差押登記は無効ではないでしょうか。

 Xは、甲土地の所有権のうちY持分として登記された部分について、Kに対抗することはできません。

 平成30年改正相続法は、「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分(法定相続分)を越える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」(899条の2第1項)と規定しています。

 したがって、Xは甲土地につき、法定相続分である2分の1の持分については登記がなくてもKに対抗することはできますが、遺産分割により取得した法定相続分を越える残りの2分の1については登記がなければKに対抗することはできません。