“あかし”とは

"あかし"とは、「法定相続情報証明」の「証」に由来します。

  静岡県司法書士会が主催する「司法書士総合相談センターしずおか」では、毎年の相談結果を集計して日司連並びに関係機関に報告書を提出しておりますが、その集計によれば全相談件数のうちの実に3割強が相続に関連する相談であり、市民の相続に関する相談ニーズは高まっております。この傾向は高齢化が進む昨今において、今後ますます進行していくものと予測されます。

 また、平成28年度には、法務省が「未来につながる相続登記」と銘打ち、静岡県司法書士会、静岡県土地家屋調査士会と連携して静岡県内の全市町を訪れ、相続登記推進に関する協力要請を行いました。市町側も、災害対策や空き家問題などの観点から、長期にわたる相続登記放置のリスクを認識し始めており、相続登記の推進は、もはや社会全体が取り組むべき急務と位置付けられます。 

 「あかし運営委員会」は、「法定相続情報証明」制度の導入を契機に、司法書士が相続登記だけでなく、遺産整理業務や二次相続対策としての資産活用、節税、紛争予防など、相続に関する業務により深くかつ広く関与することを目的として研究、実践を進めております。

あかし運営委員はこんなメンバーです!

  • 監物宏昌(チームリーダー)

     けんもつ司法書士事務所
     〒419-0114
     静岡県田方郡函南町仁田191番地の64
     イーフラッツイシイB201
     TEL:055(948)9142
     FAX:055(948)9143


    三島市立北中・韮山高・金沢大学法学部 卒

  • 井口ゆり

     渚司法書士事務所
     事務所 〒421-1212
     静岡市葵区千代一丁目14番25号
     電話 054-340-0500
     FAX 054-340-0501

    補助者、勤務司法書士を経て、平成28年11月独立開業
    気軽にご相談いただける事務所を目指しています

  • 石川秀一

     事務所 司法書士法人フジワラ
     所在地 静岡市葵区追手町10番103号
     TEL 054-255-0387

  • 井上尚人

     事務所 井上尚人司法書士事務所
     静岡県三島市東本町1丁目2-6 英光ビルI 206号
     TEL 055-983-5721

      北上中・韮山高・中央大学法学部 卒
     (公職)
      日本司法書士会連合会民事法改正対策部部委員 ほか

    (共著)
      「離婚調停・遺産分割調停の実務」
      「わかる!相続法改正」
     

  • 小澤吉徳

     事務所 司法書士法人 小澤事務所代表
     〒422-8062 静岡県静岡市駿河区稲川3-3-10
      TEL (054)282-6505
      FAX (054)282-4885
     website http://www.office-ozawa.net/office

      高松中、静岡高校、青山学院大学法学部卒業

    (公職)
      全国クレサラ・生活再建問題対策協議会 副代表幹事ほか多数

    (著書)
      「誰でもできる少額訴訟」(こう書房)
      「相続の税金・法律」(共著・こう書房)
      「マイホームの税金・法律便利事典」(共著・こう書房)ほか多数

  • 兼行邦夫

     事務所 司法書士法人おさだ 伊豆高原支店
     所在地 静岡県伊東市八幡野1140番地の9
     TEL 0557-55-9797
      FAX 0557-55-9798
      伊豆半島の生まれではなく,生まれは
    山口県ですが,下田市で8年間勤務したことをきっかけに,伊豆の虜になり,伊豆高原に終の棲家を構えました。遺言をはじめとする終活の諸準備など相続に関することがらを中心に,公証人として培った知識を生かして,伊豆高原地区の皆さんのアドバイザー的役割を担いたいとの思いから,新たな人生のスタートを開始しました。お気軽にご相談ください。

  • 神谷忠勝

     事務所 司法書士法人中央合同事務所
     所在地 浜松市中区中央二丁目12番5号
     TEL 053-458-1551
     FAX 053-458-1444
     最近の一番の趣味はダイビングです。家の近くにダイビングショップがあり、気にはなっていたのですが、知らないショップだという所に少し抵抗があったので、なかなか入れないでいました。
    しかし、そのショップのオーナーと、前の会社で一緒だった人が同級生だということがわかった後は、スムーズで、ライセンスを取り、2か月に1~2回海に行くようになりました。

     

  • 川端満秋

     司法書士川端満秋事務所

     410-3514
     静岡県賀茂郡西伊豆町仁科389番地の3
     TEL  0558-52-1710
     FAX  0558-52-1489

     稲生沢中、下田北高、東京農工大学工学部卒業

  • 倉田和宏

  • 酒井俊季
     司法書士酒井章二事務所
     静岡県袋井市旭町二丁目4番地の22
     TEL 0538-43-3412
     
     袋井中、磐田南高校、名城大学理工学部機械システム工学科卒 
     
     
     
     当事務所が所在する袋井市は、人口9万人弱の緑豊かな地であり、2019年にラグビーワールドカップが開催されるエコパスタジアムがあります。
     また、かの徳川家康のエピソードでも知られる可睡斎もその一つに数えられる、遠州三山という3つの古刹があり歴史も感じられる魅力ある市です。
     さて、肝心な事務所についてですが、こちらには3人の司法書士がおり、遠州三山ほどの歴史があるわけではないですが、
     あらゆる相談に丁寧かつ迅速に対応し、魅力溢れる事務所になるよう日々奮闘中でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 佐藤麻妃
      司法書士法人つなぐ島田事務所
      427-0022 島田市本通四丁目2番の3 
      電   話 0547-37-0020
      FAX 0547-37-0024
      静岡雙葉中学、同高校、早稲田大学法学部 卒業
    (役職)
     日本司法書士会連合会月報発行委員会委員 ほか

     人生における大きな節目には、すべて法律が関係しています。人生を安心して豊かに生きるお手伝いがしたい、そんな想いで法人“つなぐ”を設立しました。趣味は、なんちゃってランナー。焼津みなとマラソン、しまだ大井川マラソンだけは絶対出走してます!

  • 佐野貴盛

     司法書士佐野貴盛事務所
     〒417-0001
     静岡県富士市今泉2091番地の4
     電話 0545-53-7600

     平成24年7月開業。
     現在二人の息子(8才と2才)の子育て奮闘中です。


    好きな言葉 「起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半」

  • 柴田泰光

     司法書士柴田泰光事務所
     事務所 静岡県浜松市浜北区小松10番地の2

     TEL 053-586-6503
     FAX 053-570-0778

     Website  http://shihoshoshi.hamazo.tv/

     

    昭和48年5月生 おうし座 血液型 A
    北浜中、浜松北高、中央大学出身
    平成23年 司法書士試験合格
    平成24年 認定考査合格
    平成26年 事務所開設

  • 島 武志

     司法書士法人つかさ
     420-0853
     静岡市葵区追手町1番13号 アゴラ静岡ビル

     静岡東高校卒 立命館大学経済学部卒

     

  • 中里 功

     司法書士法人浜松総合事務所代表
      静岡県浜松市東区半田山五丁目39番24号
      TEL 053-432-4525
      FAX 053-432-4526
     website http://h-sougou.com/index.html

      三方原中・浜松北高・中央大学法学部 卒

    (公職)
      消費者法ニュース編集委員
      浜松市自殺対策地域連携プロジェクト委員 ほか
    (著書)
      「トラブル事案に学ぶ おしゃべり消費者法」
      「司法書士のための会社破産申立ての手引」 ほか

  • 仁科正人

     司法書士事務所 ゆずり葉
     静岡県島田市幸町7-1
     TEL 0547-36-7900
     FAX 0547-36-7901
     website http://yuzuriha-office.com/

  • 花田眞吾

     事務所 花田眞吾司法書士事務所
     静岡県掛川市久保一丁目2番6号
     TEL 0537-62-4330
     FAX 0537-62-6045

     浜松北部中、浜松西高、亜細亜大学 卒業

  • 伴 信彦

     事務所 司法書士伴信彦事務所
     静岡市葵区西千代田町1番2号
       ☎054-246-3007
      FAX054-246-2970
     
      静岡東中、静岡市立高校、駒澤大学法学部政治学科卒


    (公職)
      法テラス静岡副所長

    (私のこころに残った言葉)
    「健常者が障害者に手を差し伸べるのではなく、共に肩を組み、背中をたたきながら歩いて行く。生きづらさは健常者も障害者も同じ。人として。」
    「人権の底には、命がある」

  • 古橋清二

     事務所 静岡県浜松市中区中央二丁目12番5号
           司法書士法人中央合同事務所
           TEL 053-458-1551
           FAX 053-458-1444
     website http://chuogodo-hamamatsu.info/

      浜松西部中、浜松西高、上池自動車学校
     中央大学法学部法律学科卒業

    (公職)
        静岡県司法書士会副会長

    (著書)
            『不動産登記の見方&申請事務の手引』
        (共著・民事法研究会)
        『注釈 司法書士倫理』
        (共著・日本加除出版)
        『家族の絆を深める遺言書の作り方』
        (日本地域社会研究所)
        他多数

  • 山本剛史

     司法書士しずかぜリーガルオフィス

    •  420-0042
       静岡県静岡市葵区駒形通五丁目2番19号
       グランドメゾン葵105
    •  TEL:054-260-4577 
    •  URL:http://www.shizukaze.jp

      県立静岡西高校卒  東京経済大学経済学部卒
      平成16年司法書士試験合格
      平成21年行政書士試験合格
      都内司法書士法人、都内弁護士法人勤務を経て
      平成25年開業

      趣味:テニス(テニス歴26年)、ゴルフ、筋トレ、熱帯魚飼育 (グッピー)、食べ歩き、釣り、飲み物(ビール、焼酎ロック、泡盛ロック。日本酒NG)

これまでのあかし運営委員会の活動について、中里功委員がまとめてくれました。

1 「あかし」始動!

 静岡県司法書士会(以下、「静岡会」という)では、平成27年度に業務研究委員会が新設され、同委員会の下に特定のテーマを掲げた複数の研究グループが設置されています。この事業のコンセプトは、5~6名の少人数による2年任期のグループが「新たな司法書士業務へのチャレンジ」を目指したテーマを掲げて自由に研究活動に取り組み、静岡会は各グループに年間20万円(2年間で40万円)の活動資金を提供してその研究を支援することを目的としています。

「任期内に確実な成果を上げる」ことにこだわるため、活動開始に先立って中小企業診断士や起業家を講師に招き、夢や情熱を形にするための工程作りと進捗管理の徹底をグループメンバーの共通意識として植えつける一方、委員会として通常求められるような「会員への情報提供」は副次的効果と位置付け、研究グループに所属するメンバーのレベルアップを第一義としています。主な研究活動は次のとおりで、第1期から通算して14のグループがいずれも斬新かつ進取の精神に富んだ活動を展開しています。

(ア)研究テーマ「離婚問題と司法書士」 ・・・ 静岡大学漫画研究会に所属する学生とのコラボ事業として、シングルマザー向けに養育費を解説した漫画冊子を発行しています。冊子は複数の地元紙にも取り上げられて話題となっています。

(イ)研究テーマ「はままつ空き家プロジェクト」 ・・・ 転貸を利用した司法書士による空き家対策事業を展開中。空き家問題から派生する相続、賃貸借、借金、貧困などのさまざまな法律問題にも広く対応しています。

(ウ)研究テーマ「叶(かなう)~福祉の分野における民事信託の活用」 ・・・ 親亡き後に代表される福祉の分野において、実務家による実践的な民事信託業務を提案しています。需要を喚起するためのきめ細かな広報活動、セミナー活動にも意欲的に取り組んでいます。

(エ)研究テーマ「創業支援」 ・・・ 静岡市が推し進める移住定住Uターン政策に注目し、静岡市の東京事務所における相談員を担当するなどしながら移住や起業に際して不可欠となる法務相談に対応しています。グループの活動がきっかけとなり、静岡市と静岡会の間で創業支援に関する協定が締結されています。

(オ)研究テーマ「司法書士とランニングにおける理論と実践」 ・・・ 昨今のブームであるランニングと法律問題という一見すると関係のなさそうなテーマを組み合わせ、文字どおり“走りながら考える”研究グループです。

「あかし」もまた、業務研究グループのひとつとして平成28年の秋に発足し、半年余りの活動を経た後、平成29年度より「あかし運営委員会」(以下、「委員会」という)へと発展して現在も活動の裾野を広げています。

2 マスコミ報道の衝撃

「あかし」発足のきっかけとなったのは、平成28年7月5日のとあるマスコミ報道でした。おそらく、皆さんも記憶に残っていることでしょう。「法定相続情報証明制度」の制度化を告げる法務省からのプレスリリースのことです。

「相続登記未了不動産の解消」を制度導入の目的に掲げながらも、司法書士界に対する事前協議も情報提供もない状態での唐突なマスコミ報道に、業界全体はその後数カ月の間振り回されることとなえりました。

 当初の案では、誰でも代理人として法定相続情報証明の交付申請に携わることができるものでしたから、行政書士や税理士をはじめとする他士業や民間団体の積極参入が予測されました。折しも、法務局における登記相談の普及や他士業を含めた無資格者による事実上の支援の広まり等の影響を受け、相続登記の本人申請率は年々高まっていました。このため、法定相続情報証明制度の稼働を契機に司法書士による相続登記の独占は事実上崩壊するのではないかとの危惧も聞こえ、司法書士界内で制度導入への反対論が大勢を占めていたのは周知のとおりです。

このように、司法書士制度の「ピンチ」に業界全体が警戒感を高めている時、静岡会ではとある作戦が密かに練り上げられていたのです。

3 逆転の発想

(1)遺族はどこへ?

一般に、親族のどなたかが他界した時、遺族はどんな経験をするでしょう? 葬儀や法要を執り行うと、一息つく暇もなく故人の生前の医療費や施設費の清算、葬儀会社や菩提寺への支払いなどのまとまったお金が必要になることに気付くことでしょう。当面の必要資金を故人の預金から引き出そうとするとすでに口座は凍結されており、解約のためには聞いたこともないような公的書類の取寄せが必要だと指示されます。言われるがまま役所に戸籍を取り寄せに行くと、今度は窓口で「健康保険や介護保険の手続きはお済みですか?」「年金事務所には行かれましたか?」などと聞かれ、やらなければならない手続きがほかにもたくさんあることに気付かされることとなります。

相続という非日常に身を置いた遺族が、多岐にわたる慣れない作業を前に途方に暮れる光景は、決して珍しいことではありません。それでもひとつずつ片付いて落ち着いた生活に戻り始めたころ、やっと相続税や土地の名義が気になり始めます。

つまり、遺族にとって「相続の始まり」は金融機関の窓口や役所の戸籍係であるのが通常であり、故人が多額の負債を遺したなどの特殊事情がない限り、遺族が司法書士の事務所を訪れるのは、当面必要となるお金の工面や行政手続きが終わった後となるわけです。

(2)後回しの相続登記

司法書士が「相続登記はお済みですか?」とどんなに広報したとしても、長い間放置されていて忘れていたり、覚えていたとしても急がなければならない事情が存在しない相続登記の未了問題は、そう簡単には解消されません。「鉄は熱いうちに・・・」ではないですが、相続登記を放置させないためには、速やかな遺産分割協議への誘導が不可欠です。

相続開始の初期段階から司法書士の関与できる体制が構築できれば、相続登記の放置も相当程度改善できるはずですが、残念ながら多くの場合、遺族にとって「相続の始まり」は司法書士事務所ではないのが現実なのです。

(3)ピンチをチャンスに!

法定相続情報証明に関する報道に不安と懸念と危惧が渦巻く司法書士界内において、私たち静岡会の有志数名は、相続登記が後回しとされる状況をドラスチックに転換し、司法書士が相続手続きの主役を担うことができる可能性と魅力を、法定相続情報証明に見出していました。

すなわち、相続登記だけでなく、預貯金、保険、有価証券、車両などあらゆる名義変更手続きに使用できるだけでなく、相続税や年金などの事務手続きにも活用できることが想定されている法定相続情報証明制度が稼働すれば、すべての相続手続きに先立って法定相続情報証明の交付を求めるのが実務の趨勢になることでしょう。つまり「法定相続情報証明は司法書士に!」というキャッチコピーを広く社会に浸透することができれば、従来は後から登場するのが常であった司法書士が、遺族にとっての「相続の始まり」たり得ることになるわけです。

繰り返しとなりますが、まだこの時期、司法書士界内では反対意見が圧倒的多数を占めており、制度撤回を求める意見も散見されていたと記憶しています。しかし、法定相続情報証明が相続登記の促進という目的を掲げている以上、相続登記の担い手たる司法書士としては新制度が幅広く社会に浸透するために寄与すべき責務を負っていることを有志一同で再確認し、賛同する仲間を募り、尻込みする執行部を説得し、司法書士制度の「ピンチ」を飛躍的な「チャンス」に大転換するための作戦を実行に移していったのでした。

4 合言葉は「キャッチ」!!

法定相続情報証明の稼働を転機として司法書士事務所が「相続の始まり」の地位に就くためには、法定相続情報証明の有用性を広く社会にピーアールし、新制度を活用してもらうための働きかけが不可欠となります。

そこで私たちは、遺族が最初に足を運ぶこととなる「金融機関」と「役所の戸籍係」のふたつをターゲットに絞って徹底した広報活動を展開することとし、そのための活動拠点として「あかし」を発足したのです。

「あかし」の由来は「証(あかし)」。法定相続情報証明の「証」の字です。堅苦しくないキャッチーなネーミングを考えようということで、メンバー一同によるブレインストーミングを経て決定されました。

キャッチーといえば、「あかし」の合言葉も「キャッチ」です。金融機関をキャッチし、役所の戸籍係をキャッチし、これから相続手続きを始めようとする遺族を確実にキャッチすることで法定相続情報証明の利用や相続登記への早期着手へとつなげていこうというメンバー一同の強い覚悟が込められていたのです。

「キャッチ」のための具体的作戦は以下のとおりです。さまざまな事情により実現に至らなかった案も存在しますが、各地における取組みへの参考として掲げておくこととします。

(1)金融機関

(ア)預貯金の相続手続きの現状

 遺産承継業務や遺言執行などを受任したことのある司法書士であれば誰もが経験済みだと思いますが、金融機関の窓口職員は相続手続きに不慣れな方も少なくなく、戸籍の読み込みに時間を要したり、本来であれば不必要な書類の提出を求められたりすることもしばしば目にします。また、複数の金融機関に口座を開設しているケースも多いため、金融機関の数だけ同じ説明を繰り返したり、窓口ごとに戸籍のコピーのために長時間待たされたりするなど、受任する司法書士にとってはあまり効率のよい業務とはいえません。遺族としても、仕事を休んで1日かけてすべての金融機関の手続きを終わらせようという目論見が、1行目にして早くも崩れてしまうこともあるでしょう。

 逆に金融機関の職員にとっても、特定の顧客に長時間の拘束を強いられ、読み慣れない戸籍と格闘し、わからない点があればその都度本部の専門部署に問い合わせながらの作業は、大きな負担となっていることが容易に予測できます。複数の相続案件が同時に重なれば、もはやパニック状態ではないでしょうか。また、遺族自身が窓口に訪れるケースでは、不足書類の説明をしようにも「除籍」「原戸籍」などの専門用語が十分に伝わらず、二度手間、三度手間となって思うように作業が進行しないケースも少なくないでしょう。無論、このようなケースでは、相続手続きを進めている遺族への身体的・精神的負担も大きいことでしょう。

そこで、金融機関向けに法定相続情報証明を活用するメリットを中心とした説明会を開催することとし、相続手続きのために窓口を訪れた顧客に「まずは法定相続情報証明を取り寄せてください」「近所の司法書士を紹介するので詳細はお尋ねください」などと誘導してもらうこととしたのです。

(イ)説明会の開催

当時「早ければ平成29年4月には稼働」と報じられていたため、平成28年中の説明会開催を目指して準備に着手しましたが、諸般の事情により平成29年3月15日に開催がずれ込みました。しかし、すでに金融機関側では法定相続情報証明に高い関心を示していたこともあって、制度のスタートに先立って説明会が開催できたことで注目を集め、多数の質問事項が寄せられたりその後の連携につながる実りある意見交換がなされたりと有意義な企画となりました。

説明会の案内は、県下に本支店を置く全金融機関と県下の全森林組合に宛てて送付しました。もっとも、静岡会の会館を会場としたため、各行2名までと人数を制限させていただきました。しかし、これだけでは窓口で実務対応する職員に開催趣旨が行きわたらないことは明らかでしたし、制度が動き出してからの情報交換も重要と考えていましたので、全体説明会とは別に「平成29年度中に限り、いつでもどこでも何度でも無料で司法書士が説明会に伺います」という「無料出張説明会」も実施しました。「何度でも」としたのは、たとえば同じ金融機関でも、支店長会議、窓口職員の研修会、支店ごとの勉強会などできるだけ多くの職員にダイレクトに情報を伝えることで、法定相続情報証明のメリットを十分に理解いただくことを目的としたからです。

なお、講師はオーダーを受けた金融機関の地元の若手司法書士に任せることで、その後の顔つなぎにも役立ててもらうこととしました。また、講義内容を均質化するためパワーポイントによる統一教材を製作しただけでなく、講義のシナリオやアニメーションの切替え位置なども明記した講師マニュアルも用意し、若手司法書士でも躊躇なく講師が引き受けられるよう工夫しました。また、年度内に限り説明会はすべて無料とし、講師料は広報活動の一環という位置づけですべて委員会予算から手当てしました。

(ウ)リーフレットの作成

金融機関の職員が、相続手続きのために窓口を訪れた顧客に対し法定相続情報証明の説明をする際に使用してもらえるよう、金融機関職員向けのリーフレットも作成しました。こちらも講師料と同様、広報活動の一環として備置きを希望する金融機関にはすべて無料配布しています。また、店舗内に掲示してもらえるよう、専用のポスターも作成・頒布しました。

なお、リーフレットやポスターには、相談先として「司法書士総合相談センターしずおか」を案内しました。余談ですが、静岡会の相談センターでは県下6会場の面談相談と平日14時から17時まで常時2回線による電話相談の体制を整備しており、近年は年間4000件前後の相談に対応する県下最大の法律相談窓口として、利用者や関係機関からの高い信頼を受けております。

(2)行政

(ア)「相続の窓口」構想

法定相続情報証明の交付申請をするためには、相続関係を明らかにするための戸籍の収集が必要となります。どこの市役所にも毎日多数の市民が詰めかめてさまざまな証明書類の交付を求めています。ことに、相続手続きのために戸籍を収集しようとする者が多数にのぼると窓口の職員もその対応に時間が割かれがちとなり、交付を待つ市民の列は絶えないのが日常の光景でしょう。

そこで、自治体の協力の下、県内の主だった市役所庁舎内の戸籍係周辺に司法書士による相談ブースを設置し、法定相続情報証明交付申請の受任を前提とする戸籍収集のための相談員を配備しようとするのが「相続の窓口」構想です。

戸籍係の職員の事務負担軽減、利用者の待ち時間の短縮、遺族にとっても戸籍収集の簡便化につながるほか、法定相続情報証明の交付申請や戸籍の郵送請求などは相談員である司法書士に直接委任できるようにし、結果的に相続登記や場合によっては遺産承継業務までフォローすることで司法書士側のメリットにもつながるという発想でした。

もっとも、庁舎内部へのブース設置は困難が伴うことも予測されましたので、静岡会または地元支部の予算で庁舎近隣のテナントを賃借し、戸籍係の職員には相続手続きで窓口を訪れた市民を「相続の窓口」に誘導してもらう方法も並行して検討いたしました。なお、賃借した事務所は「相続の窓口」以外にも市民のための「よろず相談所」なり「法律カフェ」的な機能をあわせ持たせることにより、司法書士の制度広報としても機能させることも検討されていました。

実際に賃貸借契約を取り交わす準備が進められた支部もありましたが、残念ながら予算面でのハードルが高いことに加え、相談員の安定確保などの面からも実現には至りませんでした。しかし、市民が気軽に立ち寄れ、自由に相談できたり定期的な市民講座を聴講できたりし、図書コーナーや喫茶コーナーなども併設されているような司法書士会による地域に根付いたコミュニティ施設の設置は、制度広報という観点からも将来的に十分検討に値するのではないかと考えております。

(イ)災害対策の観点からも

法定相続情報証明がスタートして1ヵ月ほどが経過した平成29年6月26日、金融機関向け説明会と同様、当会会館において行政機関職員向けの説明会も開催しました。

戸籍係担当者に案内を出したのはもちろんですが、あわせて各自治体の災害対策担当者にも参加を呼び掛けました。これは、法定相続情報証明が相続登記未了不動産の解消を目的の一つに掲げていることに注目し、長期にわたる相続登記の放置が有事における復興事業の多大な足枷となっていることを指摘し、相続登記の促進や法定相続情報証明の周知について自治体との間でも協力関係を構築する狙いがあります。

なお、参加者の関心を促す目的から、公嘱協会の理事長を務める白井聖記司法書士による「相続登記未履行の危険性」と題した講演をカリキュラムに組み込みました。

(3)ウェブサイト

法定相続情報証明は平成29年5月29日に運用が始まりましたが、「あかし」ではこれに先立つ同年4月2日に専用ウェブサイトを公開し、法定相続情報証明に関する詳細なFAQはもちろんのこと、実際に活用できる記載例も複数掲載して自由にダウンロードできるようにしています。

また、一般の方に向けた相続にまつわる様々な疑問にお答えするコーナーも設け「預貯金の解約」「施設費・医療費・葬儀費用の支払い」「相続人と相続分」「遺言」「相続放棄」「遺産分割」「遺留分」「お墓やお祀りごと」などのカテゴリーごとに詳細なFAQを掲載しています。

さらに、金融機関職員用の専用ページも設け、実際に窓口対応をしていて困った時に活用していただけるための情報提供にも力を入れています。

掲載情報はすべて委員会所属メンバーにより書き下ろされており、現在も随時更新が続けられています。

5 「相続の専門家」への飛翔

「相続の始まり」としての足固めに向けた外部に対する広報活動を展開する一方で、内部に対しては幅広い相続相談に的確に対応するためのスキルアップもまた、並行して取り組まなければならない課題でした。

司法書士であれば、だれでも「相続登記」には万全の備えができていることでしょう。しかし、法定相続情報証明制度を契機に相続手続きの開始から司法書士が関与することを求めるとすれば、相続手続きの旗振り役としての機能を果たす必要があるほか、「相続」というキーワードから発生するあらゆる疑問に対し理論面からも実務面からも的確な回答を提供するための備えが不可欠となるからです。

つまり、法定相続情報証明は私たち司法書士に対し「相続登記の専門家」から「相続の専門家」へと飛翔するための絶好のチャンスを提供したのです。傍観は決して許されません。以下、具体的な取組みを紹介します。

(1)相談の定量化

最初に取り組んだのは、相続に関する相談そのものを根本的に見直してみることでした。

相続開始直後に金融機関を訪れ「法定相続情報証明の取寄せを司法書士に頼んでください」と説明された依頼者を想定してみましょう。「何のために司法書士の事務所を訪ねるのか?」「法定相続情報証明とは何なのか?」「いつまでに何をやらなければいけないのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」など、彼の頭はわからないことだらけの状態ではないでしょうか。法定相続情報証明の利用を喚起することにより、今後はこのような依頼者に対する相談対応が主流となる可能性が高いのです。「あれこれ片付き、残すは不動産の名義変更だけ」という依頼者と同じ対応に終始していては、依頼者の満足は得られないことでしょう。

私たちがやるべきことは、今から始まる相続手続きの道筋を明確に示し、個々の手続きごとに「いつ、誰が、何を、何のために行うか」を整理し、あわせてそれに伴う費用と時間を明示することにより依頼者の頭の霧を晴らし、安心しかつ納得を得ながら相続手続きが進められるような環境を整備することだと考えたのです。そしてまた、提供すべき情報は均質化されるべきでもあります。

そこで取り組んだのが、相続相談に際し利用するデータファイルの作成です(第4章にて詳述)。このファイルは、はじめに相続手続きの全体像を示し、その後は①遺言の有無または検索の必要性、②相続人の確定作業、③遺産の確定作業とその評価、④相続の承認・放棄、⑤準確定申告の必要性、⑥遺産分割協議、⑦相続税申告の必要性、と相続手続きを時系列に説明しつつ、依頼者との確認事項をその場で入力しながら相談対応できるように工夫されています(モニターを利用し、依頼者にも実際に入力情報を確認してもらいながら作業を進めるイメージ)。ひと通りの説明を終えたら、司法書士が提供できる業務と費用の概算を入力してプリントアウトし「相続手続きの道しるべ」として依頼者に提供すればよいでしょう。

データファイルを用いた相続相談の均質化は、数値化できない「顧客満足度」を定量化することにも役立つものと考えています。

(2)研修会「相続事例研究シリーズ」

司法書士による「相続の始まり」からの関与が広まれば、依頼者から司法書士に対し寄せられる相談も、これまでに比べて格段に広範囲にわたることとなるでしょう。これらの疑問に的確に回答することによって依頼者との間の信頼関係が構築されるわけですし、その積み重ねこそが「相続の専門家」としての司法書士像の形成に最重要な要素でもありますので、私たちが今まで以上に幅広い研鑽を積まなければならないことは、言うまでもありません。

そこで、委員会所属メンバーがそれぞれ自らテーマを選定して研究を重ね、静岡会の会員を対象として年間を通したオムニバス方式の勉強会を開催しています。委員会所属のメンバーは司法書士経験の浅い若手司法書士が多いため、勉強会の開催に先立って委員会内でプレ講義を実施して発表内容の精度を高める方式を採っており、委員会メンバーの自己研鑽にもたいへん役立っております。

これまでに開催したラインナップは「相続放棄に関する諸問題への対応」「遺産分割における不動産評価の考え方」「年金と相続」「遺産分割協議のやり直し」「公益目的遺贈」「相続人全員が在外者の場合の実務上の対応」「遺産分割協議書における条項の新展開」など、「相続の専門家」として備えておかなければならない情報が満載となっています。

なお、勉強会で取り扱った事案の中には、寄せられた意見や質疑も含めて講義内容をFAQ方式に細分化し、前掲のウェブサイトで情報提供しているものもあります。

(3)「遺産承継業務・静岡モデル」の提唱

同様の理由により、いわゆる遺産承継業務に対するニーズも格段に増加することが予測できます。しかし一方で、遺産承継業務をめぐる懲戒事案(平成28年11月1日さいたま地方法務局長)が発生するなど、理論面での整備が不十分であることは否めない状況でした。

そこで、すべての司法書士が堂々とかつ安心して遺産承継業務を受任できるようにするための精緻な理論構成にも着手しました。この際に重視したことは、司法書士の提供する遺産承継業務が「外部からどう評価されるか」という視点です。司法書士にとって都合のよい解釈はあえて切り捨て「できるための根拠を明確にする」「できないことはやらない」を基本的スタンスとしました。

本章ではその骨子を紹介するに止め、詳細は章を改めて解説することとします。

(ア)司法書士業務の整理

司法書士業務は「法3条業務」(A)と「附帯業務」とにわけることができ、「附帯業務」はさらに「司法書士法施行規則31条に明記された業務」(B,具体例として成年後見人への就任など)、「司法書士法や施行規則に明記されていないが誰でもできる業務」(C,具体例として会社の印鑑証明書の交付申請、公正証書遺言の証人など)、「他法によって制限されている業務」(D,具体例として農地法の許可申請手続きなど)の三つに分類できます。

この内、司法書士はA・B・Cを業務(仮にこれらをまとめて「本体業務」という)として受任することができます。またDに属する業務はそれ自体を単独で受任することはできませんが、本体業務の付随業務(本体業務を遂行するのに不可欠な関係にある業務)である場合には受任できます[1]。

(イ)遺産承継業務の細分化

遺産承継業務は、始まりから終わりまでを全体として一つの業務として捉えるよりも、「調査業務」「遺産分割」「執行業務」の3段階に分類するのが現実の実務に合致します。

ここで「調査業務」とは、相続人や遺産の調査や、相続の放棄・承認の判断あるいは遺産分割協議のために必要な資料を確定させる業務を指し、「執行業務」とは遺産分割協議にしたがって個々の遺産の名義変更等を行う業務を指します。

この内、司法書士は「調査業務」「執行業務」の受任はできますが、「遺産分割」すなわち相続人間の合意の形成に関与することはできません(その理由は後述(④))。

(ウ)遺産承継業務は規則31条業務か?

遺産承継業務の根拠は司法書士法施行規則31条であるという意見が司法書士界内の大勢であるかと思われますが、条文を精査すると、この結論には疑問を抱かざるを得ません。

すなわち、同条1号との関係では、遺産承継業務が「・・・管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、・・・他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務」に該当するのかを検証しなければなりませんが、事実関係の調査と資料収集にすぎない「調査業務」も、遺産分割協議の結果に基づく債務の履行行為にすぎない「執行業務」も、いずれも「他人の財産の管理若しくは処分」する業務には該当しません。

また、同条2号との関係でも「調査業務」や「執行業務」は「他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務」に該当しないことは明らかです。

では、「調査業務」や「執行業務」は司法書士業務ではないのかといえば、そうではありません。これらは前掲Cの「他法で制限されていない誰でもできる業務」に属するのです。誰でもできる業務であるからこそ、信託銀行などが遺産承継業務に進出しているのです。

(エ)遺産分割と規則31条

ところで、静岡モデルのように遺産承継業務を3段階に分類せず「始まりから終わりまでで全体として一つの業務」と捉える場合には遺産分割協議への関与も司法書士業務に含まれることとなりますが、この場合に司法書士法施行規則31条をその根拠とすることが好都合であったのではないかとも推測できます。

司法書士法施行規則31条は司法書士法人の制度化に伴い、法人の権利能力の範囲を明確化する趣旨で条文化されたと説明されています。法改正前から司法書士がすでに業務として受任していた附帯業務の内の主だった業務を明文化し、法人の権利能力の範囲に属する行為として定款で定めることを認めたものですから、司法書士法施行規則31条の条文化によって司法書士業務が拡大したわけではありません。

一方、司法書士法施行規則31条が条文化された平成14年司法書士法改正(以下、「14年改正」という)の前、司法書士が相続人間の合意の形成に立ち入ることができるとする考え方は存在しなかったはずです。遺産承継業務は司法書士法施行規則31条業務であり、同条を根拠に相続人間の合意形成に司法書士が立ち入ることができるとするのであれば、司法書士法施行規則31条の条文化によって司法書士業務が拡大したこととなりますので、矛盾が生じてしまいます。

前掲の懲戒事案でも「共同相続人の一部から遺産分割協議に関する業務を受任することは、・・・規則第31条第1号又は第2号に該当する業務ということはできず、・・・弁護士法第72条に触れるものであ」ると明確に否定されているのです。

一部では「交渉」はできないが「相続人全員から委任を受けた調整」は可能とする説もあるようですが、仮に個々の司法書士にこのような権限が認められるとするならば、法務大臣の認証を受けた司法書士調停センターが遺産分割調停を取り扱うに際して弁護士関与の規程を整備しなければならないこととの整合性を欠くこととなり、説得力がありません。

また「使者としての連絡」は理論的には可能と考えますが、司法書士自身は使者のつもりであっても相手方当事者や外部から見たときに実質的な代理人と評価されるような外観を作出していたため、弁護士法違反と認定された事案は珍しくないのです。

(オ)民法918条2項の活用

ところで、遺産承継業務を受任するようになると「被相続人との関係が希薄で、どんな遺産があるのかわからない」「相続人同士の面識がなく、話し合いのとっかかりも掴めない」「アパートで孤独死したため、早期に部屋の掃除と明渡しを求められている」など、しばしば困難事案に遭遇することとなります。これらの事案では遺産分割協議が調うまでに長期間を要する一方で債務の支払いや遺産の処分など緊急対応を迫られるケースもあり、対応に苦慮した経験をもつ司法書士も多いのではないでしょうか?

このような事案を処理する際、司法書士法施行規則31条を根拠にすることが司法書士にとって好都合であったという事情は理解できなくもないですし、このような事情の積み重ねが「遺産承継業務=規則31条業務」という考え方を支持する一因となっていたとも考えられます。

しかし、条文をよく読めば「できる方法」は用意されているのです。それが民法918条2項の活用です。家庭裁判所は「相続財産の保存に必要な処分」として相続財産管理人を選任することができます。相続人の一人を申立人、司法書士自身を候補者として相続財産管理人選任申立てをしてこれが認められれば、司法書士は相続財産管理人として堂々と遺産の保存行為を遂行できますし、孤独死案件の場合等では残置動産の処分やアパートの解約なども、裁判所から権限外行為許可を受けることによって何ら疑義の余地がない業務遂行が可能となるわけです。

著者の一人は、被後見人が死亡し後見業務が終了したが相続人間に争いがあるため速やかな遺産の引渡しに支障が生じるというケースで、自ら利害関係人として相続財産管理人選任の申立てをし、引き続き相続財産管理人として遺産の管理を継続している事案を経験しています。ほかにも、さまざまな活用方法が期待できそうな条文ではないでしょうか。

 

6 総括 ~ 相続手続きの“コンシェルジュ”

本章では、法定相続情報証明を契機とした1年半にわたる「あかし」の活動の軌跡を取りまとめてみました。外部に対する広報活動と内部のスキルアップは、いずれも欠くことができない要素として今後も継続していく所存です。また、遺産承継業務の在り方については、理論面からの検証が急務であることを改めて指摘しておきます。

さて、本稿の執筆は平成30年10月であり、法定相続情報証明が稼働してから間もなく1年半が経過しようとしていますが、残念ながら利用実績は当初の予定を大きく下回っている状況とのことです。

しかし、金融機関の職員からは「とても便利な制度なのでもっと活用してもらいたい」という声を耳にしますし、相続人自身で預貯金の解約手続きをする場合にも窓口での待ち時間の短縮につながってたいへん喜ばれており、さらなる普及が望まれます。

もっとも、法定相続情報証明の交付申請代理人となることができる8士業であっても、制度の存在すら知らない資格者はまだまだ少なくなく、法定相続情報証明の普及は司法書士次第という状況でもあります。逆に考えれば、他士業が注目していない今こそ「相続の専門家」としての足固めをする最大のチャンスでもあるのです。このチャンスを掴むため、ぜひとも日本司法書士会連合会なり全国の司法書士会なりが、組織として法定相続情報証明の積極的活用とこれを契機とした司法書士による相続業務の深化に真剣に取り組まれることを希望します。

相続手続きの“コンシェルジュ”を目指して!

 

[1]  小林昭彦=河合芳光『注釈司法書士法〔第3版〕』281頁(テイハン)